登山事故!滑落を経験して見えた3つのポイント(北岳)

以前の私はある程度は「山は危険な場所である」、という考えは持っていました。

それでもせいぜい「熊対策」を考えて熊撃退スプレーを携帯するくらいでした。
※熊対策もかなり重要な安全管理になりますが、今回は違うお話です。

そう、実際に滑落(すべり落ちる)経験をするまでは。

滑落自体は軽かったので小さな擦り傷で済みましたが、本当に自分がいつでも犠牲者になってしまうことを自覚した貴重な経験でした。

今回は、

・実際の滑落体験
・慣れという心の隙
・ファストエイドキットの重要性

の3つのポイントについてお話します。

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登山事故:滑落|あッ!と感じたときには転がっていた

9月。残暑の時期に日本第二の高峰「北岳(3,193m)」に登りました。

メンバーは私を含めて3人。

順調に登頂し、標高2,900m付近にある北岳山荘のキャンプエリアを借り、1泊して翌朝午前5時に下山開始。

下山ルートは左俣コースから広河原へ。

右俣コースに入る分岐点を過ぎ、大樺沢に沿って登山道を下り続けます。

途中、左岸崩壊場所があるため右岸へ迂回するルートに入ります。

この迂回コースを歩いているときに滑落が発生しました。

先頭が私、中央に初級者、最後尾に経験者の1列で歩いていました。

登頂も果たしたし、もうすぐゴールなので会話も弾みます。

バカ話をしながら登山道の段差に差し掛かります。

本当になんてことのない場所でした。

いい場所に木の枝があったのでその枝を掴み、片足を段差下へ降ろす動作を同時に行いました。

バカ話、枝を掴む、足を降ろすという3つのアクションを同時にやってしまったわけですね。

掴んだと思った枝は掴めておらず、段差は予想よりも深かった。

あッ!と感じたときには体はあっさりと重力に持っていかれました。

さらに登山道が下り坂(当然ですが)だったので滑落が止まらない!

しかも大小の石がゴロゴロしている場所でもありました。

まずザックの重さにより体が下へ引き落とされます。

つまりザックを下敷きにするような感じで倒れこみます。

滑落時のザックの重さにびっくりです。
背負って歩いているときに感じる重さの比ではありません。
態勢をたて直すことが全くできませんでした。

そして全く止まらない体。

自分で自分をコントロールできないという恐怖。

滑落が止まったとき、仲間が声をかけてきました。

そちらに顔を向けてわかったのが、滑落距離はたったの3mくらいだったこと。

滑落しているときよほど体を硬直させたのか、すぐには起き上がることができませんでした。

怪我も軽い擦り傷程度だったのは、幸運以外のなにものでもないでしょう。

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滑落:ポイント②|慣れという心の隙

どのような世界でも「慣れてきた頃が一番危ない」といいますよね。

それは行動中の緊張が解けるからでしょう。

慣れるというのはいいことです。

いつまでも緊張していては疲れてしまいますからね。

ただし、

常に初心を忘れてはいけないということ。

そもそも山の基本中の基本である「3点支持」をおろそかにしたことは笑えません。

3点支持とは、例えば右足を段差下におろす場合、両手、左足の3点はしっかり何かに確保された状態であるということ。

この基本を忘れて バカ話、片手で枝を掴もうとする、片足を段差下におろす ことを同時にやってしまったのだから・・・。

そして事故は一見なんでもないような場所で発生するってことです。

危険個所であれば初級者だろうと上級経験者だろうと緊張しますからね。

登山遭難事故の99%が、登山者自身の心の隙にあるといわれます。

明日は我が身を肝に銘じた一件でした。

滑落:ポイント③|ファストエイドキットの重要性

あなたはしっかりと準備して登山していますか?

北岳登山を計画したときに、珍しく私はファストエイドキットを買い込みました。

北岳がとても厳しい山ということを本能で理解していたのでしょう。

今回はこの事前準備がとても役立つことに。

まず初級者の友人が北岳頂上付近で高山病の頭痛を訴えました。

北岳山荘に到着後「バファリン」を2錠渡して飲ませ、そのまま就寝。

翌日には頭痛が軽減され、自力歩行で下山できるように。

続いて私自身がファストエイドキットを滑落して使うことに。

滑落後なんとか立ち上がってまず足が大丈夫かどうかを確認しました。

上半身のどこかを骨折したとしても、歩くことが可能なら下山できますからね。

両足とも異常なしでしたが両腕に大きな擦り傷ができていました。

Tシャツで下山していたので当然の結果です。

擦り傷の手当ては以下のように行いました。

①、ペットボトルの飲料水を少量使用して傷口を洗う。

②、滅菌ガーゼで傷口の血をしっかりと拭き取る。

③、ハイドロコロイドを張り付け止血を完了。

※沢の水で傷口を洗わないようにしましょう。綺麗に見える沢ですが、雑菌だらけです。

もし熊撃退スプレーのみ携行していたら、止血するのも大変だったでしょう。

長年の登山経験と、北岳はなめてはいけない、という気持ちがファストエイドキットを準備させたのかもしれませんね。

それ以上に大事なことは、事故を起こさないよう常に注意しておくことでした。

今回の滑落経験は私にとってとても大きな「戒め」となりました。

まとめ

人は痛い思いをしないと自覚しないともいわれます。

この滑落事故で私は

・誰でも犠牲者になる
・心の隙をつくらない
・ファストエイドキットはどんな山にも携行する

ことを学びました。大きな教訓ですね。

いまでも滑落自体が「軽度」で済んだ幸運に感謝しています。

あなたも事故を起こさないよう注意してください。

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